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イントゥ・ザ・ワイルド (2007)

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ワイルドです。主人公が。カヌーで激流くだったりなんかして。アグレッシブ。めっちゃポジティブ。とっても行動的。自分には到底こんなまねできません。物語はこれはもう完全に現代版「森の生活」ヘンリー・D・ソローといったかんじ。物質文明に背を向けて、野生のなかで暮らすのを目指すんです。実際、主人公の愛読書のひとつであったりするようです。まあ家庭の事情とか、ちょっとわけありなかんじなんですけど。いってみれば大規模で長期的な家出バックパッカーです。ロードムービーですね。

 

「森の生活」はアメリカ文学の古典ですが、1950年代のビートジェネレーションや1960年代のヒッピーなどにも影響を与えてたみたいです。この映画は2007年公開。ただし時代設定は1990年〜1992年になっています。ちょうどその頃、ダグラス・クープランドの「ジェネレーションX」という小説が流行していました。これもまた「森の生活」志向の当時の若者たちを描いた作品だったような。やはりその当時は、その手の傾向が強かったのかもしれませんね。傾向・志向というか、願望というか、諦念というか。それを考えると絶妙な時代設定かもしれません。ちょっとヒッピー臭いかんじもあります。

森の生活〈上〉ウォールデン (岩波文庫)

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でもなんで2007年に、こういう映画を製作したのかは謎です。監督のショーン・ペンにきいてください。まあ、どこか隠遁してみたい、という願望はいつの時代もだれの心にも、少なからず存在しているものなのかもしれませんね。自分も無人島とかに引きこもりたい気分になることが多々あります。ただしネットとネット通販だけは利用可能な無人島がいいです。それと豊富な自然の食糧があるとベストですね。狩猟生活は無理です。だって動物は人間以上にかわいすぎますから。とても直接殺せない……。て、都合よすぎ。そういった必要性にかられたぐろいシーンもちゃんと出てきます。自然の中に生きるといっても、一筋縄ではいかないんですね。なかなか甘くない現実。

 

それから、要所要所で主人公の妹の独白が入ってきて、物語の背景を少しずつあきらかにしていくのですが、主人公自身の独白ではないところが、なかなかおもしろい手法だなとおもいました。はっきりと描かれているわけではないのですが、この物語でいちばんかわいそうなのは、ひとり不幸な家庭に取り残された妹なのかもしれません。

 

そういえば、この時代にはソウルアサイラムというバンドの「ラナウェイ・トレイン」という曲がありました。家を飛び出して行方不明になった少年少女についての曲です。1992年の曲です。そんなことがちょっと思い浮かびました。映画では息子が失踪してしまうことで、家族の心境にも変化が訪れるんです。

 

主人公はなぜかアラスカを目指しているのですが、なんでアラスカなんですかね。たしかケビン・コスナーの「パーフェクト・ワールド」でも(これは1993年の作品のようです)主人公がアラスカに行くのに憧れていましたが。アメリカ人にとってアラスカというのは、どこか特別な地なのかもしれません。

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ああそう。それと、すごくどうでもいいことですが映画の中盤で、おっぱいが見れます。ほんとうにすごくどうでもいいことです。まったくえろくないのでその点は期待しないでください。自然の映像美のほうが、はるかに美しい映画です。道中様々な人との出会いと別れを繰り返しての成長物語。まあでも旅先でこんなにいい人ばかりに出会えるというのもご都合主義かも。それとも実際、旅人っていうのは、そういうものなのかな。自分も昔60日ほどアメリカ一周貧乏旅行を単独でしたことがあるけど、そのときに巡り会った人々がどうしてるのか、もう一度会ってみたいなっておもうことがあります。だいたいいい人たちでした。で、この映画、148分。ちょっと長かったかなという印象も。おおむね淡々とした映画なんですが、結末は甘くなかった甘くなかった甘くなかった……。

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