【追悼】さよなら、三木聡!
「転々」つまらないや。三木聡のやり口がわかってしまったから、もうあきたんだとおもう。「亀は意外と速く泳ぐ」はたのしめたし「ダメジン」もまあおもしろかったし「図鑑に載ってない虫」もそこそこおもしろかったし「インスタント沼」もわりとおもしろかったけど、あれは最後の演説はなんだよとおもった。批判を受けてあえて演説させたっていうけど、そんな人の批判なんかどうでもいいじゃないか。そんなものを映画に反映させてもしょうがない。馬鹿っぽい。
基本的に日々メモしている「おもいつき」の小ネタを、ずらっとまとめてひとつの脚本にするっていってたけど(ゼロからの脚本術―10人の映画)、たしかにそうだね。それだけでしかないっていう。ただたんに小ネタを積み上げただけで、だんだん要領というかそのセンスがわかってくると、「ああまたか」という感想しか出てこなくて、たしかにどこがどうおもしろいかという理解はできるけど、だからといってべつになんもおもしろくない。あ、そう。まあそうだね。というかんじ。こんなんならだれでもいくらでもなんぼでも映画撮れる。突飛なセンスというほどでもないし。コロンブスの卵的な発想というわけでもない。必要なのは人脈・コネだけ。新鮮さのかけらもない。なぜだんだんつまんなくなるかっていったら、毎回同じだから。ひとつ観れば、あとは同じ。くりかえし。惰性で作ってるだけ。固定化された芸風。意外性が全くない。意外性を狙った小ネタすら見え見えでなんの意外性もない。わかりやすい。同じ味を味わいたいという人しか、たのしめない。
あいにく自分は、映画を観るならいつも、なにか新しいものをかんじたい。毎度おなじみの新春演芸会みたいな笑いは、いっさい観たくない。だからもう三木聡の映画はつまらない。今後も期待できない。そういえば「俺俺」は三木聡自身も危機感を感じたのか知らないが、ちょっとこれまでとちがっていた。どちらかといえばシリアスだった。だけど、新しい発見はなかった。まるで「世にも奇妙な物語」の20分ぐらいのドラマを2時間に引き延ばしたみたいなゴミだった。さすがにひどいもんだった。残念だ。
もっと発想力を磨いて出直してもらいたい。まあ出直せるような歳ではもうなさそうだけど。しかたない。もう潮時。賞味期限切れだ。これが三木聡の限界なんだね。これ以上醜態をさらさないうちに引退したほうがいい。ああ死ぬほど残念だ。ほんとうに残念だ。
2007年の映画ということで、その質を差し引いてみても、小ネタのセンスがそれよりも10年前、20年前のにおいがする。ようするに古くさい。一周しておもしろくなっているかというと、そういうわけでもないし、わざとそれを狙ってやってるようにも見えないというところがとても悲しい。それにこの程度で「シュール」とかいってるようでは笑いの幅があまりに狭い。窮屈だ。もっと自由でいい。これじゃ理屈っぽすぎる。なにひとつ個性的なところがない。退屈。惰性。もはや、つまらんクリシェの死んだ伝統芸能になってしまっているのがことさら悲しい。

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